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金沢21世紀美術館で2011年4月から2012年3月までの一年を通しておこなわれたアート・プロジェクトが一冊になりました。 作品展示空間「サロン」では、設置されたポストに手紙を投函したひとりひとりへ、述べ1044通にもおよぶドローイングの返事を送るという試みで、鑑賞者たちと絵を介した一対一の対話がありました。 美術館内のもうひとつの展示空間「ディスコ」では、ボランティア・メンバーとともに共同制作された全長約70メートルにおよぶ壁画作品《ディスコ》が出現。その「ディスコ」空間で実施された身体表現や音楽とのセッションは、日々様々なプログラムが組まれ、多様なアーティストや参加者、プロジェクト・メンバーとともに、多くの新しい表現が発表される場となりました。 同時に美術館内だけにとどまらず館外でも多くのプロジェクトが展開されました。金沢能楽美術館では「能」という日本の伝統芸術を描いた作品「スクロール・ストーリー」が発表され、文化の垣根を超越した出会いがうまれました。また、金沢市内のカフェや自転車屋など、既存の展示方法とは違う、まちならではの展示となり、思いがけない多くの人々とのコミュニケーションがありました。 そのすべての体験を通じ、触発され、新たに描かれた作品「金沢ドローイング」は、100点以上にも及びます。 絵が様々な訪問者たちと出会い、ダイレクトな対話を続け、 ジャンル、ジェンダー、国境、文化、日常と非日常という様々な境界を軽やかに超え、 その表現の場を限りなく広げていった一年間の記録です。