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Morphe資料のアーカイブ化について

趣旨と目的

アート活動の現場では、膨大な資料や書類が日々蓄積されている。これらは個人や団体の将来の活動を支える貴重な情報やノウハウ、経験の宝庫である。しかし、現在進行中の運営や製作の作業に追われ、それらを整理・保存する余力がないのが現状であろう。
そこで、これらの貴重な資料が散逸してしまいがちな現状に対して、その記録・保存を効率よくおこなうアーカイビングの方法を構築し、その実践にかかわる人びとと共有することを本プロジェクトの目的とする。

資料の受け入れ

P+ARCHIVEでは、現在日本各地でさかんに行われているアート・プロジェクトの先駆例として、1990年代におけるアート・プロジェクトの事例に注目した。それらの中で、当時の事務局との協議により、資料の提供(寄託)が実現したのがMORPHEであった。
2011年8月8日、当時のMORPHE事務局を務めていた仲世古佳伸氏・杉原寛氏より、資料の提供を受ける。
作家関係の資料や、記録写真のポジフィルムなどを中心に、総合資料数は約6000点(ただし、この時点ではまだ数は不明)。両氏の説明を受けながら、資料にラべリングを行い、専用の容器へ収納。

目録の作成と分類

資料を1点ずつ登録する作業を行い、目録を作成した。この目録が、MORPHE資料に関する基礎台帳となる。
目録の項目は、「標題」「作成者」など約70のフィールドから構成されている。
全資料の登録後、編成作業によって内容・形式別の分類を行った。これにより、例えば「1995年のモルフェに関する資料」「作家・会田誠の資料」「青山スパイラルに関する資料」など、年次別・作家別・会場別…等、様々な観点から資料を探し出すことができ、さらにはそれらを複合的に組み合わせた検索が可能になる。

資料のデジタル化

資料をデジタル化することで、閲覧など資料へのアクセスが容易になり、原本を繰り返し参照することによる劣化を防ぐことができる。また、デジタル化による複製は、災害や事故などのリスクを回避することにも繋がる。
P+ARCHIVEでは、基本的に全ての資料のデジタル化を行ったが、最も特筆すべきは、ポジフィルムの画像デジタル化である。
MORPHEでは毎回、作品の展示風景やイベントの様子などが、カメラによって記録されている。一部の例外を除き、ほとんどの写真はポジフィルムの形で残されており、その数はおよそ4000点にも上る。また、ポジフィルムをプラスチック板でマウントしたスライドについても、相当数(約150点)作成されている。
今回採用したのは、ポジフィルムやスライドそのものを接写によって撮影し、デジタル画像を取得するという方法である。

資料の公開

権利処理

資料の公開に当たって、著作権や肖像権などの権利処理業務を行った。
MORPHEには1995年から2000年までの5ケ年で、約250名以上の作家、130以上の会場(ギャラリーや商業施設など)など、多くの人々や組織が関わっている。初年度から15年以上経過した現在では、連絡先の分からない作家や、クローズしたギャラリー・店舗なども多い。引き続き調査を進めながら、資料の利用に関する権利処理を続けていく必要がある。

P+Archive Centerでの公開

MORPHE資料は、公開可となったものから順次、P+Archive Centerでの公開を行う。

[所在地] 東京都千代田区外神田6丁目11-14 アーツ千代田3331内
[開館日] 水曜・木曜の13:00〜18:00
[主な所蔵資料]
・地域・社会に関わるアート・プロジェクトおよびパブリックアートに関する資料
・近年の日本の資料(1980年代〜現在)

デジタル・アーカイブの公開

また、オンラインによるデジタル・アーカイブとしての公開も行う。
P+ARCHIVEでは既に2010年度より、「デジタル・アーカイブ事業」を開始してきました。国内外のアート・プロジェクトの基礎データが登録されており、プロジェクト名やアーティスト名などから検索できるようになっている。オンライン公開されており、常時アクセスが可能。